ニチニチ草の有効成分ビンカミンは認知症の治療薬として世界で使われる
「ニチニチ草」は、初夏から晩秋にかけて、鮮やかな赤やピンク、紫の花を咲かせるキョウチクトウ科の多年草植物です。多くの園芸店で見かけられるニチニチ草は、正式名称を「ヒメツルニチニチソウ」といいます。
ニチニチ草から抽出した有効成分には、脳の血流や神経を活性化させ、集中力や記憶力を向上させる働きがあると話題になっています。
ニチニチ草は「日々、新しい花を咲かせる」ことから命名されたといわれ、炎天下でも咲きつづけられる強い生命力に満ちあふれています。
ニチニチ草の花や茎、葉のすべてに含まれているのが「ビンカミン」という有効成分で、非常に優れた効能のあることが知られています。
ビンカミンの強力な働きの1つが、脳の血流を改善することです。この働きは古くから広く認められており、いまから56年以上も前の1959年に、ビンカミンは脳血管障害の治療薬として販売されました。現在でも、脳血管性認知症を予防・改善する薬として、世界47か国で治療に用いられています。
民間療法の領域でも、ニチニチ草は、頭痛、もの忘れ、めまいなどの予防・改善を目的として多くの人に役立てられてきたのです。
ビンカミンは脳の血流を促進して神経細胞の働きを活発にし注意力・思考力を高める
ここで、ニチニチ草の有効成分であるビンカミンが、脳の血流を改善するしくみです。
脳には、脳の栄養補給にかかわっている「グリア細胞」という細胞があります。
グリア細胞は、赤血球が運んでくる酸素と、脳の活動に不可欠なエネルギーであるグルコース(ブドウ糖)を脳の神経細胞に送り込む一方で、神経細胞から老廃物を取り除く役割を果たしています。
グリア細胞が正しく働くかどうかは、脳の働きを正常に保つうえで非常に重要なカギを握っているのです。
ところが、加齢や動脈硬化などが原因で脳の血流が低下すると、グリア細胞は神経細胞に酸素やグルコースを十分に運べなくなり、脳の老化を引き起こしてしまいます。ビンカミンは脳のグリア細胞だけではなく、ミトコンドリアも活性化させます。
ミトコンドリアとは、全身の細胞のひとつひとつに存在し、生命活動に欠かせないATP(アデノシン三リン酸)というエネルギーを生み出す器官です。
ミトコンドリアが活発に働いてATPを産生するカが強くなれば、脳内の神経細胞も活性化して集中力や記憶力が向上すると考えられています。
また、ビンカミンには、脳の血管の弾力性を増やして拡張させる作用があります。さらに、血液の粘度(粘りけ)を下げることも確認されており、脳の血流を改善する働きがあるのです。