過剰なストレスでインスリンの放出量が激減してしまう
仕事をしている現役時代は健康そのもので病院とは無縁だった人でも
- 退職後、糖尿病になってしまった
- 糖尿病予備軍と言われてしまった
- 血糖値・ヘモグロビンA1Cが高い
- 血圧も高め
- 親の介護をしはじめたと思ったら子供の自分が糖尿病になってしまった
。このように、ちょっとした生活環境の変化で、糖尿病を発症する人が少なくありません。
糖尿病はストレスとの関連性が非常に深い病気です。糖尿病というとカロリーの高いものやお酒ばかり飲んでいる人がなるのかというイメージをお持ちの人もいるかもしれませんが、そうではありません。
通常、ストレスが加わると、自律神経やある種のホルモンの機能を統合する中枢である脳の視床下部がまず感知します。すると、内臓の働きが活発になったりやる気をもたらすホルモンが分泌されたり、ひいては免疫力が強まったりします。
ただし、これは過剰なストレスの場合です。過剰なストレスがかかると、体に異常をきたし、さまざまな不調・病気を招きます。その不調・病気の1つに高血糖になる糖尿病があります。
過剰なストレスを感じると、脳の視床下部が強く刺激され、自律神経が乱れてしまいます。自律神経には、体を活動的にする交感神経と体を安静にする副交感神経の2種あり、それらの切り替えがうまくできなくなってしまうのです。
具体的にいうと、自律神経の交感神経が優位になっている時間が増え、その結果、怒りの状態を示すホルモンのノルアドレナリンが分泌され、また腎臓の上にある副腎皮質という場所からノルアドレナリンとそれと似た働きがあるアドレナリンが分泌されます。これらの2種のホルモンは、血糖値を上げる作用があります。
その一方で、交感神経が優位であると血糖値を調整するホルモンであるインスリンの分泌量が著しく減って、血糖値が下がりにくい状態が続きます。
また、過剰なストレスを感じると、自律神経の働きとは関係なく、副腎皮質からコルチゾールというホルモンが分泌されるようになります。
コルチゾールとは、別名、ストレスホルモン。ストレスを強く感じると、このコルチゾールが過剰に増え、血糖値が上昇します。ストレスの過剰な状態が続くと、血糖値が上がって高血糖・糖尿病を招きやすくなってしまうのです。
強制的に治療すると死亡率が高まる
ところで、ストレスが多いほど糖尿病になりやすいということを証明する研究も数多くあります。
例えば、厚労省の研究班が2009年に発表した大規模調査です。この調査では、約5万5000人の男女を10年間にわたり追跡し、ストレスと糖尿病の発病率を調べました。すると、ストレスが少ないと答えた男性のグループを1とした場合、ストレスが普通のグループは1.9倍、ストレスが多いグループは1.36倍も糖尿病になりやすいことが明らかになりました。
また、女性も同様で、ストレスが少ないと答えたグループを1とした場合、ストレスが普通のグループは1.12倍、ストレスが多いグループは1.22倍も糖尿病になりやすいことがわかりました。
さらに、米国最大の研究機開である国立衛生研究所から、興味深い研究が報告されています。
この研究では、米国とカナダの糖尿病患者さん1万人以上を対象に、ヘモグロビンA1C値を強制的に6% 未満にするグループと、少し甘めの7~7.9% にするグループに分け、死亡率が比較されました。その結果、ヘモグロビンA1C6% 未満にするほうが、死亡率が高かつたのです。つまり、ヘモグロビンA1C値を強制的に下げることが多大なストレスになり、糖尿病の悪化を促したといえることが証明されました。
つくり笑いでも効果がある
以上のことから、高血糖・糖尿病を撃退するには、過剰なストレスをうまく解消する必要がありますが、いつたい、どのような方法を試せばいいのでしょうか?ストレスを解消する方法として、最も簡単なのは、「笑うこと」です。
笑いというのは、おもしろい、楽しい、うれしいという感情に対する反応の現れですが、笑いが起こるときは、先に述べたノルアドレナリンやコルチゾールといったホルモンは消えるし、副交感神経が優位になるため、血糖値を下げるインスリンが分泌されやすくなります。つまり、笑うだけでストレスが解消でき、しかも血糖値が下がってくる、というわけです。
とはいえ、心の底から笑えないという人も中にはいます。その場合、「作り笑い」をすればいいでしょう。実は、笑いについての研究は全世界でいろいろと進んでいますが、作り笑いをするだけで、心の底から笑うのと同様の効果が得られることがわかっています。にっこおりするだけでも効果があるということです。
笑いと一緒にたまねぎの皮の成分を使ったお茶などを飲むようにするとさらに血糖値を下げることができます。玉ネギの皮を煎じて作る皮茶です。玉ネギの皮は調理には適していませんが、ケルセチンは熱に強く、煎じることでしっかり抽出できる特性があるため、お茶にして飲むことで手軽に、しかもたっぷり摂ることができ、血糖値を下げてくれます。たまねぎについてはこちら。
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