度を超すリラックスも病気を招く原因になる

副交感神経が優位な体質は免疫力が高い

私たちの健康は、日中にほどよく働き、ほどよく食べて、夜はぐっすり眠ることで保障されています。病気が作られるのは、この活動と休息のバランスがくずれたときです。

つまり、ストレス過剰の無理な生き方に対し、リラックス過剰の楽な生き方でも自律神経の良好な働きが妨げられ、人問は健康を保つことが難しくなるのです。自律神経から見た、楽すぎる生き方とは、毎日満腹になるまで食べて体を動かさない、不活発な生き方です。

飽食と運動不足は、副交感神経を優位にし、白血球中にリンパ球をふやします。リンパ球は、ウィルスや体内で発生した異常細胞の排除に働く免疫細胞なので、リンパ球がほどほどに多いのは、カゼもめったにひかない、免疫力の高い体調といえます。

ところが、リンパ球も必要以上にふえると、過剰反応を起こします。本来は無害な少しの異物も敵と見なして炎症を起こし、排除しようとするのです。この反応が表面化したのが、いわゆるアレルギー疾患です。また、副交感神経が優位なリラックス時には、アセチルコリンの指令を受けて、プロスタグランジンの分泌が盛んになります。

このホルモンは血管を開き、血流をふやして傷ついた組織の修復を促します。その際、組織は発熱し、知覚神経も過敏になるため、リラックス過剰でプロスタグランジンの活性が高まりすぎると、治癒反応として引き起こされるアレルギー性の炎症も激しさを増し、かゆみや痛みなどの症状が強くなります。

アトピー性皮膚炎にしろ、花粉症にしろ、近年、社会問題になるほどアレルギー疾患患者が急増し、重症化の一途をたどっています。これは、生活の豊かさを背景に、現代人の体質が交感神経の緊張型から副交感神経型へと移行した結果なのです。

例えば、甘いお菓子を食べてストレスが解消できるのは、砂糖が副交感神経を優位にする最強の食べ物だからです。しかし、食べようと思えば毎日でもケーキが食べられるようになったのは、ここ30~40年の話で、まさしくアレルギー疾患の増加が始まった時期と一致します。

ストレスに弱いが病気は治りやすい

さらにその前提には、生活様式の変化に伴う、運動量の低下が存在します。思い起こせば、青森県の私の生家に水道が通ったのは、私が小学校2、3年のときでした。それ以前は井戸水を運んで炊事・洗濯・掃除をし、入浴をしていたわけですから、家事も今とは比べものにならないくらい重労働だったことがわかります。

さらに、その後に訪れた車社会、道路や住宅のバリアフリー化により、現代人の生活は、人問を徹底的に甘やかす世界に突入しました。免疫力の高まりが平均寿命を延ばす一方、現在はリラックスの行きすぎで認知症や足腰の痛みを抱えるお年寄りがふえ、新たに「健康寿命の延長を」と叫ばれる時代を生んだのです。

運動量の低下によって、真っ先に弱るのが筋肉です。筋肉がひ弱だと、ふくよかな肉体を支えきれずに問節に過剰な負担がかかります。さらに、筋肉は静脈血を心臓に押し戻すポンプの役目を果たすため、筋力の低下に伴い血流も悪化して、体内に老廃物がたまりやすくなります。

また、運動不足は骨へのカルシウムの沈着を妨げ、骨租髭症を促進することもわかっています。これらが、中高年者が訴える足腰の痛みの原因です。すなわち、現代人が健康寿命の延長を可能にするには、年を取れば取るほど積極的に体を動かし、筋肉を鍛える努力が必要になってくるわけです。

もう1つ、楽すぎる生き方の究極の弊害として、交感神経の刺激不足によって引き起こされる、ストレス耐性の低下が挙げられます。現代人がリンパ球の豊富な免疫力の高い体質を持ちながら、病気を蔓延させている原因も、要はストレスに対抗する力の弱さにあるのです。

例えば、うつ病が国民病といわれるほど急増したのも、生まれたときからリラックス過剰で育った人間がふえた結果といえます。ガンや膠原病などに苦しむ患者さんの話を問いても、皆さん感受性の豊かさから悩みを抱え、発病に至った様子がうかがえます。

ただし、過酷な生き方による交感神経の緊張体質のストレス病に対し、リラックス過剰による副交感神経が優位な体質のストレス病は、自律神経が活発に揺れ動きやすいのが特徴です。このため、症状は激しくても、病気そのものは軽症である場合が多く、原因を治療すれば治りやすいということも、ぜひ覚えておきましょう。

その原因治療とは、甘いものの摂取を控え、各自の能力に応じた適度な運動習慣を身につけて、リラックス過剰な生き方を是正することにあります。同時にストレスを軽減する工夫も必要ですが、体に生じたストレス状態は、積極的に体を温めることでも緩和させられます。

ストレスにどのくらい耐えることができるかのチェック

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