フリーラジカルとたたかう抗酸化物質

脳は50パーセント以上が脂肪組織で構成されているため、フリーラジカル(細胞が酸素を使用することで生成される不安定な不対電子) の攻撃をとくに受けやすいのです。

事実、フリーラジカルによって脳細胞が破壊されることが、アルツハイマー病やパーキンソン氏病などの脳疾患の原因だと考えられています。若い頃は体内にフリーラジカルの攻撃から身を守る抗酸化物質の強力なネットワークができていますが、歳をとると体内で生成される抗酸化物質が減少します。そういう理由から、抗酸化物質を補ってやることが大切なのです。抗酸化物質には単体のものと複合剤があります。脳に有益な抗酸化物質をいくつかご紹介します。

フリーラジカル消去作用を高める味噌汁の作り方
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フリーラジカルの「毒」を消す細胞の仕組み
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ブドウ種子抽出物

フラボノイドに似たプロアントシアニジンを豊富に含むブドウ種子抽出物はフリーラジカルから脂肪細胞を保護します。また、動脈の健康維持に不可欠であるコラーゲンを保護する働きがあることから、心臓病の予防効果もあります。摂取量は1日2錠までです。
ブドウ種子抽出物

ビタミンE

ビタミンE を摂っているお年寄りは、そうでない人と比べて機敏です。その理由もはっきりしてます。強力な抗酸化物質であるビタミンEは、脳にたいへん効果があります。

ある研究で、それほど症状が重くない早期アルツハイマー病患者に処方薬と2000IUのビタミンE、あるいは偽薬を2年間投与しました。その結果、ビタミンEだけでも、処方薬より遥かに効果があり、アルツハイマー病の進行を遅らせることができるという結論に達しました。

ビタミンEは、フリーラジカルの攻撃から身を守るだけでなく、脳細胞の破壊を早める原因となる心臓病を予防する働きもあります。
また、別の研究では、人間に換算すると400IUに相当する量のビタミンEを毎日ラットに与えました。すると、ビタミンEを注射することにより、ラットの脳(人間も同様) に含まれるたんばく質が酸化しない、つまり脳の老化が原因となる消耗が起こりませんでした。ビタミンEには「古い」脳を若く保持する効果があるという結論に達したのです。
ドライタイプのビタミンEを毎日400IU摂取してください。
理想的なビタミンEの摂取方法

リポ酸

リボ酸は、体内に存在するほかの酸化剤の活性を強化することから、万能抗酸化剤として知られています。また、脂溶性でも水溶性でもなく、すべての細胞に浸透する、非常に独特な物質です。

ほかの抗酸化剤はそれぞれ1~2種類のフリーラジカルに対する効果しかありませんが、リボ酸にはさまざまな種類のフリーラジカルを抑制する(攻撃力を弱める) 力があります。

リボ酸は血液脳関門(血液中の物質が脳に移行するための脳血管と脳の間にある機能的関門のこと)を通過して、傷ついた脳細胞を修復します。動物実験では、卒中(一時的に血液と酸素の流れが停止し、重度の記憶の喪失と錯乱を引き起こす病気)による脳の損傷をリボ酸が完治させることがわかっています。
卒中によるダメージの大半はフリーラジカルの増殖が原因であるため、この事実は理にかなっています。まもなべリボ酸は、脳の健康に重要な抗酸化剤として有名になるでしょう。摂取量は1日100mgまでです。
αリポ酸の注目すべき効能11項目 | αリポ酸の効能、効果

補酵素Ⅰ

補酵素Ⅰ として知られるNADH(還元型ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド) は、脳の強壮剤となり得る抗酸化剤です。
アルツハイマー病患者は、同年齢でフリーラジカルの影響を受けていない人と比べ、NADH量が25~50%も少ないのですが、ある研究で、アルツハイマー患者に毎日10mgのNADHを与えたところ、認識機能と記憶力が明らかに改善されました。摂取量は5mgの錠剤を1日2錠まで、空腹時に摂取してください。
NADH

脳は常に栄養分を求めている「精神、肉体に効くサプリ」 脳の老化 vs サプリ

脳は常に栄養分を求めている「精神、肉体に効くサプリ」 脳の老化 vs サプリ

最近50歳を過ぎ、新たな人生をスタートさせた友達が、同僚の名前がなかなか覚えられないと愚痴をこぼしています。それ以外にも彼は、以前ほど頭が働かなくなったと感じており、とても不安に思っています。

よさそうなサプリメントのリストを彼に渡し、彼の経験はよくあることだといってやりました。歳をとると精神機能に変化が見られますが、このような変化は深刻に考えるほどではありません。一時的に物を思い出せないのはよくあることです。新しく知り合った人や電話番号を思い出せないのは非常に厄介ではありますが、それほど重大ではありません。

しつこいようですが、これは正常な変化であり、決して重大なことではないのです。アルツハイマー病などの重大な脳疾患にならないかぎり、たいていの人は脳機能を一生正常に保つことが脳の機能を維持するためにサプリメントを摂っていただきたいのですが、それだけでは不十分です。

健康に留意し、活動的にすごしていれば、肉体も精神も順調に機能します。実際には、からだの不調が精神的な問題につながることが多いのです。

たとえばアテローム性動脈硬化症になると脳への血流が滞り、精神的な能力が著しく低下します。高血圧にも同様の症状が現れることがあります。高中性脂肪血症などの高脂血症が主原因となる粥状(アテローム性) 動脈硬化は、心臓の冠状動脈、内頚動脈、椎骨脳底動脈、脳動脈といった太い血管ほど発生しやすいのが特徴です。

食生活が脳機能に影響を与えるということを誇張しているのではありませんが、脳はさまざまな働きをするので、つねに栄養分を必要としています。年齢に関係なく、偏食や栄養の足りない食事をしていると、脳細胞がエネルギーを得られず、うまく機能してくれません。いつも朝食を摂らないで登校する生徒は成績が思わしくないことが多いのですが、これは空腹のため、集中力が低下しているからです。

時々、ある特定の栄養分に「飢えて」いるのに気づかないことがあります。たとえば、60歳以上の人の多くは、ビタミンB12が不足しています。

ビタミンB12が欠乏すると、ある種の平衡感覚の低下・喪失といった神経的な症状や、感情の変化、方向感覚の鈍化、記憶の喪失が見られます。オランダで行われた研究によると、健康だけれどもビタミンB12量の少ない人は、ビタミンB12が.多い人よりも精神テストの結果が思わしくありませんでした。
耳鳴り・めまい・難聴の改善には「ビタミンB12」 | ビタミンの効能・効果
https://vitamin-guide.info/archives/737

栄養不足によって精神機能に影響が出るのは高齢者だけでなく、若い人も同様です。たとえば、鉄分が不足している大学生は、成額が思わしくありません。

ペンシルバニア州立大学の学生で、鉄分が不足している学生が3ヶ月間、鉄サプリメントを摂ったところ、成績が著しく上がりました。体力の低下も脳の機能低下と関係があります。体調が崩れると脳内で電気変化や化学変化が起き、ドーパミンとノルアドレナリンという2つの神経伝達物質(機敏であるためには不可欠)が減少します。運動をすると、脳に送られる酸素が増加するため、ドーパミンとノルアドレナリンは増加します。

また、運動をすることで心臓のポンプカが強化され、血行を促します。運動は酸素量を増加させるだけでなく、精神を高揚させます。運動をすることで、脳内で麻薬に似た働きをする神経物質、ベータ・エンドルフィンの生成が促されます。運動をしている人はさ頭が冴え、動作も機敏で、非常に幸福感を感じます。また、運動は脳機能を低下させるストレスを解消してくれます。長期的にストレスを感じると、つかさ‥こ脳の老化が促され、学習と記憶を司る部分へのダメージが加速するのです。モントリオールにあるマクギル大学で55歳から87歳までの健康な130人の、ストレスホルモンの血中濃度を5年間にわたって調査しました。

その結果、ストレスホルモン値が高い人はわずかながら記憶力と注意力に問題のあることがわかりました。高いストレスホルモン値が、アルツハイマー病を引き起こす要素であると考えられています。びんしよう精神的な敏捷さを維持するために、健康的なライフスタイルを実践する必要があります。次に挙げるのは、精神と肉体の両方に効果のあるサプリメントです。

精神と肉体の両方に効果のあるサプリメント

セロトニンアップのための「ヨガ」

ヨガの呼吸法は禅と共通するところが多い

エクササイズの一種としてダイエットやスポーツにも取り入れられ、大人気のヨガ。専門のスタジオもありますし、フィットネスクラブでは、必ずと言っていいほど、ヨガ教室が開催されています。

ヨガはインド発祥で、その呼吸法は、セロトニン神経を鍛える腹筋呼吸であると言えます。人気のヨガにも禅や丹田呼吸法、気功法と同じ効果があるのです。

ヨガの呼吸の特徴は、はく、吸うの合間に息を止める動作があること。リズミカルな腹筋呼吸であることには変わりなく、セロトニン活性化にはとてもよい方法のひとつです。

また、腹筋を動かすだけでなく骨盤のところにある臓器を支えている筋肉、骨盤底筋の緊張と弛緩をくり返して鍛えることも、ヨガの特徴です。
骨盤底筋は、子宮や膀胱が下がってこないように支える大切な筋肉。特に女性は、加齢や出産、運動不足で骨盤底筋の力が弱まると、生理痛や腰痛がひどくなったり、尿もれを起こしやすくなったりといったことがあります。セロトニン神経とともに骨盤底筋を鍛え、心と体を健康にする一石二鳥の方法とも言えます。

ヨガ特有の「片鼻呼吸法」が簡単にできる

ヨガ特有の息を止める呼吸法が簡単にできる方法として「片鼻呼吸法」があります。片方の鼻をふさぐことによって、いつも以上に呼吸を意識することができますし、息を止めるときには、両方の鼻をふさいでしまうので、簡単に息を止めることができます。

口を閉じ、鼻だけで息をするようにします。慣れてきたら、指で鼻の穴をふさがなくても片方ずつの鼻で息ができるようになって、自由に息を止められるようになってきます。少しずつ練習すると出来るようになります。

息を止める時間は、ここでは特に決めません。どれだけ止めむれるかは個人差がありますので、気持ちよく呼吸ができる範囲で行ってください。酸欠になって倒れてしまっては元も子もありません。.最初は、ほんの少ししか息を止められなくても{徐々に晴間を伸ばすことがそきるようになります。

ヨガで行う方鼻呼吸
  1. 【吸う】左手の親指で左の鼻の穴をふさぎ、右の鼻の穴から息を吸います。十分に吸い込んだら、左薬指で右の鼻の穴をふさぎます。両方の鼻をふさいだ状態で苦しくならない程度、息を止めます。
  2. 【はく】親指を離して、左の鼻の穴から息をはききります。はききったら息を吸い、再び両鼻をふさいで息を止め、薬指を離して右の鼻の穴から息をはききります。鼻を押さえる手を右手に変え、もう1度くり返します。左右の手を1回ずつでワンセット。回数制限はありませんが、数セット行ってください。