では、真面目な人がなぜ幸せになれないのでしょうか。それは真面目な人が勘違いをしているからです。
真面目な人は、真面目でありさえすれば幸せが手に入ると思っています。それはデパートの前に開店前から並んでいれば商品をただでくれると思い込んでいるようなものです。
自分が開店前から並んでいるのに、後からきた人が商品を買っていくのを見て、「不公平だ」と嘆いているようなものです。
うつ病者は後からきた人がお金を払っていることに気づきません。うつ病者は自分がお金を払っていないから商品がもらえないのだと気がついていないのです。
このデパートの商品が「幸せ」です。真面目でありさえすれば幸せになれると思って真面目でいても、いつまでたっても幸せにはなれません。
真面目でも人を信じられなければ幸せにはなれないのです。愛を信じられなければ幸せにはなれない。人と親しくなれなければ幸せにはなれません。
真面目でも人とコミュニケーションできなければ幸せにはなれないのです。それらのことは心の底に憎しみがあったら無理でしょう。心がふれあえなければ幸せにはなれないのです。
真面目だけでは幸せにはなれないのです。
うつ病になるような人にいま大切なのは「自分を出すこと」です。うつ病になるような人は、長いこと自分の感じ方、自分の考え、自分の印象などを表現して人に好かれようと努力してこなかったのです。
人は自分を出してしまったほうが愛されます。しかし「適応した子供」は愛されるためにはお行儀よく振る舞うことだと思い込んでいます。
無理をしていない子供のほうが「子供らしい可愛さ」があります。そこで無理をしていない子供のほうが愛されます。それが素直さというものです。逆にいえば素直でなければ何をしても幸福にはなれないのです。