子供が親に認められたいのと同様に大人だって認めてほしい。この「認めてほしい」という気持ちをくみとり損なうから人間関係がうまくいきません。
子供でも大人でも、「すごいね~」と誉めてもらうために、あることを話題に出してくるということは意外に多いのです。自分のしたこと、あるいは自分の立場などを認めてもらいたくて、あることを話題に出します。
夫は家で会社のことを話題に出します。たとえば部下のできの悪さを話題に出します。それはそのできの悪い部下に耐えている「オレはすごいだろ~」という意味です。夫は妻から誉めてもらいたいのです。
それは部下でも上司でも恋人でも関係ない、たとえば夫が同僚について「押しが弱い、何事も事なかれ主義で、はっきりと物事を言わない」と言ったとします。
そこで妻が「ハッキリと、あなたのこういうところが嫌いだとなぜ言えないの」と具体的な解決策を言ったとする。ところが夫の求めているのは解決策ではないのです。
妻の「あなた、会社で大変なのね」というねぎらいの言葉です。それを妻が単に「できの悪い部下の話題」「優柔不断な同僚の話題」として扱うから夫は不愉快になるのです。つまり妻は夫の話を聞いた後で、「それに耐えているあなたはすごい」と言わないで、具体的に「こうしたらいいのではないか」と提案したので不愉快になったのです。
夫はそんな具体的な提案を妻から聞くために、部下や同僚のことを活しているのではないのです。「上も下もだらしがない中で、あなたは頑張っているのね。すごいわ。とても私なんかにとても真似ができないわ」と認めてもらうために会社の人間を話題に出しているのです。