少し難しい言葉を使えば、役割アイデンティティーだけで生きてきた人は、その重い責任からくるストレスを乗り越えられません。それに対して、きちんとした自我アイデンティティーを持って生きてきた人はその困難を乗り切れます。
役割アイデンティティーが優勢なのは憎しみによるものです。「真の恋人同士の間には、役割アイデンティティーの入り込む余地はない」と考えられています。
ここで大切なのは「真の」というところである。打算的な恋愛では役割アイデンティティーは大切です。
自分のアイデンティティーが、主任だとか課長だとかいう役割アイデンティティーが中心であれば、相手を見る時も役割アイデンティティーで見るでしょう。しかし、真の恋人同士の間ではそれがないのです。
重い社会的責任を果たす時には誰でもストレスを感じます。そして若い頃、真の恋愛をする中で身につけたものがそのストレスに対処する時にものをいうのです。
役割アイデンティティーだけで生きてきた者にはこのストレスは時に耐え難いものです。不安な緊張で消耗し、ろくに仕事もできなくなるでしょう。
仕事の能率が悪くなるから余計焦ります。そうなれば悪循環です。
昇進うつ病になる人は、昇進うつ病になるように生きてきているのです。だからうつ病になった時には、いままでの自分の生き方をもう一度ゆっくりと反省する時なのです。
自分の人生に与えられた熟考の時間として捉えましょう「いまうつ病になって良かった」と思うことです。