親のいない子を普通の人は「かわいそうに」と言います。しかしうつ病になるような人から見れば、「親のいない子は何と幸せなのだろう」ということです。
「親から心理的に搾取される」ということが理解できないと、うつ病者を理解することはできません。
うつ病者は「親さえいなければ」、何とかもう少しまともに生きられたのです。
親によって脳がダメージを受けた時、普通の人はそれを理解しょうとしません。その親さえいなければ脳はもう少しまともだったに違いないのです。
後にも説明しますが、偉大な精神病理学者フロムエフイヒマンが言うように、うつ病者は愛を求めていたのです。これをすれば、愛をくれるだろう、これに耐えれば愛をくれるだろうと子供は親に尽くし続けたのです。
悪い男に引っかかった女を考えてみれば分かるでしょう。愛を求めているから、男の言うなりになります。恋に落ちた女は悪い男から搾取され続けるでしょう。恋愛も親子関係も同じです。
愛を求めている側が弱い立場になる。これをすれば「良い子と言ってあげる」ということで、子供は自分を曲げて頑張り続けます。「こぅなれば愛してあげる」ということで、子供は親にとって都合の良い子供になります。そうしているうちに心は憎しみでズタズタになっているでしょう。
憎しみの感情で脳は変形しています。幼児期、少年期、青年期を通しておかしくなった脳は、そう簡単にまともにはなりません。
吐き出されない憎しみの感情に支配されることで、その人は最後には心理的に閉じこもるのです。
もう誰も自分のことは分かってくれないと閉じこもります。周囲の人にとってはその人が何で閉じこもったかは分かりません。その人が何で憎しみを持ったかは分かりません。
その人が何を求めているかも分からないのです。愛を求めているがゆえに閉じこもったのです。愛を求めているがゆえに憎んだのです。